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舌下免疫療法 slit

舌下免疫療法(SLIT、アレルゲン免疫療法、減感作療法)

はじめに

アレルギーの治療法の一つに、アレルギーの原因となる物質「アレルゲン=抗原」を体内に少しずつ取り入れて、体を徐々にアレルゲンに慣らしていって抗体をつくることで、アレルギー症状を長時間和らげたり、唯一アレルギー症状を治す可能性がある【アレルゲン免疫療法(減感作療法)】があります。

2014年に舌下免疫療法が開始されるまで、アレルゲン免疫療法といえば注射による皮下免疫療法が主流でした。舌下免疫療法は、皮下免疫療法に比べて様々な負担(通院の頻度や副作用の現れやすさなど)が軽減されていて続けやすく、結果的に皮下免疫療法よりも高い治療効果が望める治療法であることが言われています。

舌下免疫療法とは

『舌下免疫療法(SLIT)』は、アレルゲンのエキスを少量含んだ錠剤を舌の下に1分間ほど保持してから飲み込むことで、毎日少しずつ免疫を作っていくアレルゲン免疫療法の一つです。

通常は治療開始から3カ月程度で効果が現れ始めますが、治療期間は3年必要であり、4~5年の継続治療により7~8年の効果が持続すると報告されています。また臨床試験では、約80%の方に効果(そのうち20%の方は完全に症状が消失)がありましたが、20%の方には残念ながら効果がなかったという結果でした。

2022年現在は、スギ花粉症とダニ抗原によるアレルギー性鼻炎の治療薬があります。

●スギ花粉症に対する薬(薬品名「シダキュア®」

花粉の飛散シーズンに治療をスタートすると副作用が出やすいという観点から、6~12月の初旬に治療スタートとなりますのでご注意ください。

■ダニ抗原のアレルギー性鼻炎に対する薬(薬品名「ミティキュア®」か「アシテア®」)

ダニは通年性ですから治療スタートに制限はなく、いつでも治療を始められます。

※スギ花粉症・ダニ抗原のアレルギー性鼻炎の治療を、次期をずらしてスタートさせることで並行して行うことも必要です。

舌下免疫療法をお勧めできる方

舌下免疫療法を受けられない方

舌下免疫療法に注意が必要な方

治療の流れ

1.初診 

問診で現在の症状や既往歴、現在服用中のお薬などについてお伺いします。
また、血液検査を行って、スギあるいはダニのアレルギーがあることを確認します。
※2年以内に行ったアレルギーの血液検査結果があればお持ちください。

2.治療開始 

血液検査でスギもしくはダニのアレルギーがあることを確認後、舌下免疫療法を希望される場合は詳しい説明を行います(同意書を取らせていただきます)。 その後再受診して頂いた際に舌下免疫療法のスタートが可能です。

初回の服用ではまれですがアナフィラキシーショックを起こすリスクがあるため、医師の指導のもと薬を服用し、その後アレルギー症状が起きないかクリニック内で30分間経過観察を行いますす。問題がなければ継続治療が可能ですから、翌日からはご自宅で毎日継続して舌下投与による服薬を行っていきます。

3.定期的な受診 

舌下免疫療法開始から1カ月の間は副作用のアレルギー反応が生じやすいため、2回目は1週間後、3回目以降は約1カ月に1回の診察が必要です。治療期間は3~5年間(最低でも3年間)が推奨されています。

服用方法

舌

1日1回錠剤を舌の裏に置き、1分間唾液を飲まずに保持してから飲み込みます。
その後5分間はうがいや飲食は避けてください。
また服用前後2時間は、汗をかくような運動や飲酒、入浴は避けてください。

治療期間

舌下免疫療法は、抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬などの症状を一時期に抑える薬と違い症状をすぐに抑えるものではありません。症状がある日もない日も続けることが重要で、少なくとも3年間は継続する必要があります。

効果がある場合は合計3~5年間治療を続けることを推奨します。 5年間経過して治療を一旦終了後、効果が減弱してきた場合には治療を再開することが可能です。

舌下免疫療法の副作用

舌下免疫療法では副作用を生じる場合があります。服用してから30分以内に生じることが多いのですが、特に服用開始初期の1カ月以内や、スギ・ダニに対するアレルギー症状が強い方は副作用が生じやすい傾向にあるため注意が必要です。

多くの場合は軽症であり抗ヒスタミン薬の内服で症状が治まりますが、まれにアナフィラキシー(頻度は1万回に1回)という重篤な副作用を起こす可能性もあります。

〇主な副作用

口の中のむくみ・腫れ・かゆみ・不快感・異常感、唇の腫れ、喉の違和感・不快感、耳のかゆみ など

▲重大な副作用《アナフィラキシー》

少量でもアレルゲンが体内に入ることにより、複数の臓器や全身にアレルギー症状が現れ、命に危険が生じ得る過敏な反応のことで下記の症状が現れます。

全身症状 冷や汗、脱力感、しびれ、めまい
皮膚の症状 蕁麻疹、そう痒感、紅斑や皮膚の発赤などが全身に現れる
眼の症状 視覚異常、視野の狭窄 など
循環器の症状 頻脈、不整脈、血圧低下(ふらつきやめまい) など
消化器の症状 胃痛、吐き気、嘔吐、下痢 など
呼吸器の症状 声がかれる、鼻がつまる、くしゃみ、喉のそう痒感、胸のしめつけ感、咳、呼吸困難、呼吸の音がゼーゼー・ヒューヒューするなど
神経の症状 不安、恐怖感、意識の混濁など

⇒特に緊急度が高い症状は、循環器、呼吸器、消化器、神経の症状です。
急激に悪化することもあるため、救急車を呼ぶなどの迅速な対応が必要になります。

治療費用

治療費用については、健康保険の診療が可能です。初回は、初診料・アレルギー検査代で7.000円程度かかりますが、その後の定期的な通院の費用は他の治療や薬の処方がない場合には、クリニックでの治療費と薬局での薬代と合わせて1カ月あたり2000~3000円の負担となります。

さらに詳しく知りたい方へ

詳しくは製薬会社(鳥居薬品)のサイトをご覧ください。

鳥居薬品